ダンゴタケ
Bovistella radicata (Dur. et Mont.) Morgan


北海道札幌市で(2005.9.25).トドマツ林内にたくさん生えた.まだ若いもの.

ダンゴタケ属のきのこは,世界から5種類が知られており,うち2種が日本に産するが,日本では一般的なきのこではなく,珍菌の部類に属するだろう.ダンゴタケは,北半球の温帯以北には広く分布するが,本邦では北海道や長野県などから採集例があるのみである.札幌市手稲区の市街地にある都市公園では,毎年,このダンゴタケが大発生する.2005年9月25日にこの公園を訪れた際も,幼菌から成熟した子実体,さらに老菌に至るまで,多数の子実体が観察できた.このきのこは,一見ノウタケの仲間に似ているが,無性基部が海綿状で発達し,グレバと無性基部の間に隔壁のような間隙がある.また,成熟すると,ノウタケ属菌は殻皮が,めりめりとはがれ落ちていくのに対し,ダンゴタケは内皮が剥落せずに長く残る.さらに,ダンゴタケ属菌は太い根状菌糸束を有する.顕微鏡的には,ダンゴタケは弾糸がBovista-typeである(ノウタケ属菌はLycoperdon-type).これらの点から,ダンゴタケ属とノウタケ属は識別可能である.さて,日本でダンゴタケが毎年たくさん発生する場所は,わたしはこの札幌市の公園しか知らない.この公園では,植栽されたトドマツの樹下や,道ばたの草地にこのきのこが大発生している.何の変哲もないきれいに整備された都市公園に,"珍菌"ダンゴタケが大発生することは,北海道の菌類のおもしろさを表していると言えるだろう.


北海道札幌市で(2005.9.25).グレバが成熟すると子実体全体が黄土色になる.

茨城県札幌市で(2005.9.25).老菌で,グレバがなくなって内皮と無性基部のみが残存したもの.おそらく前年に生えた子実体だろう.


2005.12.31 T.Kasuya